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私のあんはっぴい・ふしあわせ物語2

その2「ふしあわせ」の「ふ」いろいろ

「不」「負」「腐」しあわせ

「ふしあわせ」の「ふ」に漢字を当てはめてみましょう。「不」「負」「腐」。あれれ、ネガティブなカンジの漢字が浮かんじゃいました(笑)。「不しあわせ(しあわせではない)」、「負しあわせ(マイナス方向の幸せ)」「腐しあわせ(腐ったしあわせ)」、ぎゃわぁ~、なんなんだ~。

 

「普しあわせ」「歩しあわせ」

ここで落ち着いて、違う漢字を探してみましょう。「普しあわせ」という言葉を思いつきました。普通の生活の中にこそ幸せがあるという意味です。「幸せ」というと、人は往々にして、特別なモノや地位や名誉を受け取ることだと思いがちです。でもそういった幸せは、競争や比較、刷り込まれた世間の評価、他者からの承認欲求といったものが付きまといがちです。幸せとは、そういう僥倖のようなものだけではなく、日常のちょっとしたところにある小さなことに心が動くことでもあると思うのです。類語として「歩しあわせ」もあげておきましょう。昔は「全力で走り続けた先に幸せがある。だから今は苦しくてもつらくても、立ち止まらず走り続けよ」といわれ続けた時代でした。今は、じっくり周りの景色を楽しみながら「歩く」こと、その勇気を持つことが必要なのではないでしょうか。

 

「付しあわせ」

今度は「付しあわせ」について取り上げたいと思います。幸せとは「手に入れるべき目標」ではなく、「思わず、期せずして、オマケとして付いてきた」もののようにも思うのです。

私の話で恐縮ですが、以前私は、太ってしまって数か月後に迫る式典に着る礼服が入らなくなったことに気づき、慌ててダイエットに取り組んだことがあります。食事制限をして、苦行を乗り越え、体重を減らしました。でもそれによって、ストレスが溜まり、体調に異変が現れ、結局リバウンドが起こりました。そんな中、私は高橋”さゆり”惣兵衛さんの「しあわせ脳をつくる断食マイスター養成講座」というワークショップに出会い開眼したんです。このWSの内容は、単に減量のためのダイエットではなく、断食を含んだ食養生、ランニングなどの運動といった身体的な面と、生化学の知識、内観、省察という心の面の両輪が機能することによって「健康なココロとカラダでしあわせに生きる」という人生における大きなテーマを最終ゴールとするものでした。そして、気がつくと大幅にダイエットに成功!さらに、マラソン大会で入賞を果たしたり、積年の悩みだった花粉症も完治したのです。そう。ダイエットは人生を楽しむ習慣のオマケとしてついてくるということだったんですね。大切なのは、目標ゲットのために、苦行に勤しむのではなく、持続する良い習慣やゴキゲンな行動を日々送るという、「上質な人生」を手に入れていくプロセスを楽しんでいくことなのだと私は思います。

 

「麩しあわせ」

「麩」は地味ながら、私たちの食事にちょっとしたアクセントを与えてくれる幸せな食材です。お味噌汁にふうわりと麩が浮かんでいると、何となくウキウキしませんか。汁をたっぷり吸いこんだ焼き麩を、歯ではなく、上顎と舌で押しつぶす。その触感、味覚、そして後からやってくる鼻腔を抜ける爽やかな香り。それはまさに五感が幸せを感じているということだと思います。また、椀や煮物に登場する生麩や、おでんに入っている「ちくわぶ」の、モチモチ、くにゅくにゅとした触感は官能的で、噛みしめると自然に笑顔中が顔になります。いやいや、顔中笑顔、ニコニコ・ステキな二コラ・テスラのゴキゲン発電であります(なんのこっちゃ笑)。

 

ところで、2013年に放映されたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で有名になったのは「まめぶ汁」です。ご存じの方も多いのではないでしょうか。具沢山の吸い物に浮かぶ弾力ある白玉をむぎゅっと噛むと、なかから甘い黒糖とクルミが飛び出します。まさに嬉しい不意打ちに、驚きとともに幸せ感がアップします。ぜひ、岩手の久慈に来られたときは食べてみてくださいね。

 

麩は単なる脇役的な食材ではありません。私の大好きなsobe’sレストランで作られる料理は、オーガニックでヘルシー、その一皿一皿は見た目も味も上質で最高。心も体も幸せいっぱいになります。メインの「月のリズムプレート」は、主菜、副菜、スープが月のリズムに沿って、月4回リニューアルされ、月形のお皿で提供されるというこだわりがまたステキです。そんなSobe’sでは車麩を、回鍋肉などの肉料理の食材にすることがありますが、その皿の中で、車麩はまさに堂々たる主役の輝きを放っています。

 

 

 

 

古来から車麩や粟麩などは、精進料理の素材として取り入れられますが、それは単なる肉に代わるたんぱく源という意味合いではないのです。精進潔斎して願い事を成就するために、先人たちが英知を傾け工夫を凝らして作ったまさに幸せの食材ではないかと思うのです。

 

他にも「富」「芙」「夫」「婦」などいろいろありそうですね。皆さんはどんな漢字を当てたいと思いますか。