· 

腰痛考

この4月から腰痛に苦しんでおります。授業や人に会う機会があるときは、アドレナリンが分泌されるからなのか、何とかしのぐことができます。でも、1人になり、夜になると七転八倒の時がやってくるのです。そしてその苦しみは朝まで続くのです。

 

ある日の夕刻、立っても、座っても、寝ても、右を向いても左を向いても激痛が走る状態になりました。私の中での激痛No.1は尿管結石なのですが、これは痛いけれど、「モルヒネを~」などと、のたうち回ることはできます。しかし腰痛は微妙な動きで激痛が脳天直撃なので、動くことも、留まり続けることもできません。

 

そんな激痛の状況下では、その痛みにだけ頭がフォーカスされるので、何も考えることができなくなると思われがちですが、なぜか私の場合は、ぐるぐると同じことを考え続けています。恐らく夢を見ているような状態なのかもしれません。

先日のその激痛が走った時も、痛みのメカニズムとは何かという問いが浮かんで、それについて脂汗を流し、悶えながら、ひたすら考えていました。

 

そのことについて、ここに記しておきたいと思います。そのときは、凄い発見かも、などと思ったわけですが、後で思い返してみると、何ともしょうもない話だということに気づくわけですが。まあ、他愛のないヨタ話と笑っておつきあいくだされば嬉しいです。

 

痛みとフェヒナーの法則

最初に浮かんだのは、痛みの方程式についてです。痛みとは、患部が傷ついているとか、悪化しているという物理的な状態を、神経回路によって脳に認識させるというメカニズムであると思われます。つまり、「痛み」は、患部の「刺激」の関数といえるのではないかということです。

 

すると、ここで思い出すのは、刺激と感覚について述べている、ウェーバー・フェフィナーの法則です。ウェーバー、フェフィナーによると、感覚とは刺激の関数であり、感覚の変化量は、その時の刺激の大きさに反比例するというものです。

 

確かに、蠟燭が1本から2本に増えたときの感覚の変化は大きいですが、100本から101本になったときは、ほとんど感覚的に変化はありませんね。

この関係を、刺激をx、感覚をPとして、微分方程式で表すと

 と表せます。

これを解くと、

つまり「感覚の大きさは、刺激強度の対数に比例する」ということが言えるわけです。

痛みもある種の感覚であるので、この法則が適用できるのではないかと思ったのでした。

 

ちなみに、この式におけるkは、個人差を表す「痛み係数」です。

自慢ではありませんが、私は、大腸ポリープの手術の時、それを検査した病院の先生から中央病院の先生へ出された紹介状の備考欄に「この人は痛みに弱い」と一筆添えられたという過去の実績があります。なので、私の場合、kの値は大きいですね。

 

 腰痛とニュートン力学

さて、次に頭に浮かんだことは、腰痛は、ニュートンの物理法則によってとてもよく記述されるのではないかということです。

 

例えば、痛くてベットに右手をつく。すると、その瞬間、痛みがリバウンドされる。お尻をつくと、そこからまた強烈な痛みが生み出される。これはまさに、ニュートンの運動の第3法則(だっけ?)作用反作用の法則を如実に表しているのではないか。

 

そして、腰痛は、重いものを持ったり、振動したり、急に動いたり止まったりすると、痛みが増します。つまり、腰痛の痛みは重力も含めた、加速度の変化によって引き起こされるということではないかと閃いたのです。g(重力)がかかることによって、痛みが生まれ、増大するとすれば、無重力状態では腰痛は起きないだろうと予測できます。今、宇宙工学がトレンドですが、これは宇宙のことだけでなく、腰痛治療に応用できるかもしれません。

 

ここで、今述べたことを式で表してみましょう。痛みの大きさをPとします。これは加速度と人間の質量の両方に比例すると思われるので、

(kは個人差定数、mは体重、aは加速度)と書けますが、更に、同じ状態に長くいると痛みが増幅するので、ここでのPは瞬間的な痛みの量といえます。つまり、PではなくP‘とするべきですね。 そこで今、Pは時間(短い時間)に局所的に比例すると考えると、 という式で書き直すことができます。これが痛みの方程式です。
ここで、 は、等加速度運動する質点の速度とみることもできるので、 とすると、
つまり、痛みとは運動量ともいえるわけです。

さて、この痛みの総和、蓄積を求めてみましょう。Pを積分すればよいので、

となります。

何と運動エネルギーを表す式になりました。

つまり、痛みという感情はエネルギーとして蓄積されるということです。

 

そうすると、その痛みエネルギーはどうなるのでしょう。痛みはそのとき感じた意識や感情であり、物質ではないので、痛みがなくなったらそれは雲散霧消するのでしょうか。いや、ただ消えるということではないのではないか。なぜなら、痛みがエネルギーであれば、そこに、エネルギー保存法則という原則が働くからです。つまり累加してゼロになるような別のプラスのエネルギーに保存されなければならないのです。

 

ではそれは何なのか。そこで私の脳の3回転半ひねり片膝付き着地、という飛躍によって生まれた考えとは、痛みエネルギーは脳内で昇華し、5次元空間に移動し、タイムラグを持って別のエネルギーに変換され、現実世界に現れるのではないかということ。

 

つまり、この腰痛が去った後、寝て待っているだけで、いつの日か、川の上流から大きな桃がどんぶらこ、と。

そんなことを言うと、トンデモ野郎と笑われるかもしれませんね。でもね、そんなふうに考えると、痛みにも耐えようというポジティブな気持ちにもなるというものです。

 

そして、因果応報、塞翁が馬、禍福は糾える縄の如しなどという言葉がありますが、これらは「エネルギー保存則」そのものなんだなあとしみじみとしたのでした。

 

さあ、というわけで、今日も痛みエネルギーの貯金に勤しむか。