相加相乗平均の不等式

20年以上前なのですが、東大目指して浪人していたK君からある問題についてメールで質問されました。

それは次のような問題です。

彼の質問は「この問題を右図のように解いたが、解答と違っていた、なぜか」というものでした。

 

バリバリに計算力があって、公式もたくさん覚えている彼でしたが、意外と基本的なところに穴があることがわかりちょっと驚いたものでした。

 

彼の解答の間違いの原因は、等号成立条件に留意していなかったことですね。つまり、③の不等式は正しいことを言っているけれど、最小値の存在を約束していない。①②で用いた相加相乗平均の不等式はそれぞれ独立して等号成立条件があり、それが同時に成り立たないので、③の等号は成立しない。ということですね。

 

相加相乗平均の不等式とは「足して2で割ったものは掛けてルートをとったものより大きいかまたは等しい」という理解で終わっている場合が多いですね。でも本質は、最小値の存在を約束する不等式であるということなんですね。指導する場合は、ここをもっと強調しておく必要があるのだなあと思いました。彼への返信メールで書いた内容は下写真のホワイトボードにある通りです。