■ 4月1日(火)1.Apr(Tue)
【概要】
3月31日の深夜にタシケントに到着。学校近くのアパートに案内され、ここを拠点に2か月生活することになる。私の担当は9年生ロシア語クラス担任のミアさん(Sevara Ruslanovna)である。彼女が基本的に私の世話をしてくれる。コミュニケーションは英語である。
朝8時半に出勤。挨拶もそこそこに、食堂に連れていかれ、朝食をとった後、9年生の授業(三角関数の還元公式)、8年生の授業(平行四辺形の面積と三角比)、7年生の授業(小数のかけ算の規則)を参観し、アドバイスを行ったり生徒との対話を行った。4時間目は7年生のロシア語の授業に参加、一人一人と会話を行う。
昼は、9年生のロシア語クラスの担任と生徒と一緒にランチ(ほぼ毎日ランチはこの形)をとり、そこで様々な生徒たちとコミュニケーションを行うことになる。
午後は4年生の授業(図形のシンメトリ/一次方程式)参観と、小学校の先生方に算数の授業についてのワークショップが用意されていた。9月訪問時は、ほぼ毎日放置されている状態だったので、業務が入るのはありがたいが、初日から息をつく暇もなくスケジューリングされていて、しかも事前にその内容が知らされていないのでとても大変であった。
■ 4年生の授業より
教室に入ると歌で歓迎された。担当のアジザ先生はとても熱心で、私と積極的にコミュニケーションを取ってくれる。
シンメトリーの授業だったので、私が教材として持ってきた鏡(カーボネイトミラー)を使って授業に介入させてもらった。
4年生の教科書でこのような1次方程式を扱っている。日本では中学1年で習う内容である。
■ 小学校算数研修(60分)
研修会の様子。副校長と小学校の先生数名が参加した。
■ ホワイトボード問題
JISの盛岡中央高校附属中訪問で見たホワイトボード問題を早速取り入れていた。
■ 学校環境
アパートの様子
学校と最寄りで大変便利であった。
学校での定位置
大きなデスクと書棚、ロッカーが与えられ快適であった。
■ 4月2日(水)2.Apr(Wed)
【概要】
まだ2日目というのに日々もりだくさんすぎて、目が回る状態である。朝食に行くと子どもたちが私の周りに集まってどんどん日本語で話しかけてくる。彼らの壁打ち役になっている。一方、今回の通訳は日本語ではなく、ウズベク語・ロシア語→英語なので、私にとっても毎日が英会話の実践の日々でもある。今日は4つの授業に入って見学したが、6年生の算数・数学オリンピックを目指す子どもたちが集まってきて、難しい問題を出してくれと要望された。とりあえず2つほど問題を出したらものすごい集中力で解いてくれた。自然に仲間どうし連携し合って解いていく過程が、観ていて頼もしかった。
午後は、数学科教員の研修会が行われた。ありがたいことに、日本語の通訳が入ってくれたので日本語で話すことができた。研修では、冒頭に、参観したそれぞれの先生の授業について、日本型教育の視点からの私の感想を述べた。そして、いくつかの実践事例をあげながら、ウズベキスタンの教育の良さと、日本型教育を取り混ぜて新たなJISの数学教育を作っていこうという提案を行った。とても実りのある時間であった。
■6年生の授業
授業参観していたら、担当教員から、能力の高い生徒たち用に問題を与えて欲しいとの要望があり、その場でいくつかの問題を出して生徒に解いてもらった。
九九の表に現れる数の総和はいくつになるかという問題などを出題。
数人の能力の高い子どもたちが中心となり集中して解いている。
竹ひごと粘土で作った立体図形を見せてもらった。これから多面体の授業を展開していけば面白くなる。
■ 数学科教員研修会
研修風景。
参加メンバー。この他に2人の数学科教員がいる。数学科全体がチームとなって互いに学び合う関係が築かれることが大切であることを強調した。
この2日間で参観した先生方の授業について、いくつかの写真を提示しながら、良いところと課題についてそれぞれ説明した。
■ 数学科研修会用に準備したスライド(図形の面積について)
■ ウズベキスタンの食事
食事は朝と昼は学校の食堂でとり、夕食はミアさんに市内のレストランに連れて行ってもらい、ミアさんやバブルさんと一緒にとることが多かった。また後半は、アパートの近くにスーパーマーケットや市場があるので、そこで食材を買って1人で食べるのが基本となった。
前回の訪問と異なり、アンブレラ(ウォッカの一気飲み)の強要がほぼなかったのは救いである。
タシケントのプロフ。牛の他に馬の肉が乗っているのが特徴。
どの食事にもかならず出てくるノン。これをちぎってみんなと分かち合うのがウズベキスタンの習慣である。
ウズベク人が大好きなシャシリク。牛とチキンとつくねです。基本的にほぼ塩だけの味付けで、素材の良さを楽しむ。
■ その他
ランチタイムでは、私が食堂に行くと子どもたちが集まり、目を輝かせて日本語で話しかけてくれる。
学食のランチはウズベク料理とロシア料理の両方が提供される。美味しくて栄養バランスも考えられている。
ウズベク人にとって誕生日はとても大切な日である。生徒たちも担任の先生の誕生日を心から祝福している。
■ 4月3日(木)3.Apr(Thu)
【概要】
この日のメインは9年生の三角関数の授業であった。前日に連絡を受けていたので、スライドを作って準備して臨んだのだが、教室に行くと電子黒板の準備ができておらず、15分以上遅れてスタート。タシケント校ではなかなかこちらの思いが伝わらないことが多く、また授業を参観する教員が少なく、記録して共有・還元することがなされない。これは想定していたことなので、今回の訪問ではビデオカメラを持参し、自撮りする形で授業を記録していた。また、この日の授業ではカマさんという大学生が通訳に入ってくれたが、数学の授業の通訳はかなり厳しい状況であった。基本的にタシケント校では通訳がつかないことが多く、ほぼ英語で授業を行った。そういうわけで、用意した授業はできなかったが、単位円を使いこなして三角関数をマスターするところになんとか持っていくことができた。授業後、すごくよくわかった!と興奮して駆け寄ってくる生徒がたくさんいたので、ホッとした。皆がどんどん集まってきたので、オマケとしてソーセージを斜めに切断してサインカーブが現れるパフォーマンスをして楽しく終わることができた。
■ 9年生の授業
三角関数の例としてバイオリズムの話もしました。
用意したスライドは終われなかったが、ポイントは伝えられたように思う。
生徒の反応が温かい。
【作成・使用したコンテンツ】
■ 4月4日(金)4.Apr(Fri)
【概要】
この日のメインは8年生の授業。図形の面積を求めるための様々な工夫というテーマで、かねて作っておいた教材を使って授業を行った。どんどん前に出て発言してくれることと、生徒の多くが英語を理解できること、そして担当のアキム先生が補助に入ってくれたことで、思っていたよりたくさんの問題をやることができた。今回も残念ながら授業写真・動画などの記録がとれなかった。
小学校の算数を担当するアジド先生はとても研究熱心で、私のところに何度もアドバイスをもらいに来る。小学校4年生のシンメトリーの授業をどうすればよいかと聞かれ、日本から持ってきたカーボネートミラーを提供したところ早速活用してくださり、喜んで報告に来てくださった。算数の面白さを伝える肝は先生自身が面白がること。アジド先生が顔中笑顔にして授業の様子をそれは楽しそうにすると、こちらも自然にわくわくウキウキして幸せな気持ちになる。
■ 8年生の授業より(授業写真がないので授業で扱った問題を紹介する)
面積の移動について納得する教具を即席で作成した。
はみ出しと削られの部分を等しいとみる。
三角形の等積変形の基本問題。補助線をうまく引くことがポイント。
シンプルな問題だが、ピタゴラスの定理の本質が隠れている。
相似比と面積比の関係からスマートにピタゴラスの定理を導く。
まともにやると三角比の問題になるので9年生以上レベル。しかし、図形を切断して並べ替えると3年生でもいける。
ピタゴラスの定理の応用問題。結果がとても美しい問題である。授業では最後に出題した問題であるが、ある生徒がチャイムが鳴ってもあきらめず、頑張ってやり遂げた。
ずらし移動と回転移動による合同変換の考えを用いてピタゴラスの定理を説明する自作のGIFアニメ。
こちらは4つの三角形を平行移動して、スキマの面積の比較によってピタゴラスの定理を納得する自作のGIFアニメ。生徒にはこちらが好評だった。
■ アジザ先生の授業より
提供したカーボネイトミラーを使った授業を報告してくれました。
■ Japan Visual Math Supplement
私の作ったテキストのウズベク語版ができていました。私の授業では、できるだけこれの内容を活かしている。
■ 4月5日(土)5.Apr(Sat)
【概要】
この日は休日であったが、動画作成や教材開発などの業務を行った。
■ 4月1日~4日までのダイジェスト動画
これまで4日間の状況を大雑把にまとめたショート動画を作成した。
■ 4月6日(日)6.Apr(Sun)
【概要】
この日も休日なので、啓林館の資料を参考に、日本の教育の小中校の系統図を作成した。
■ 4月7日(月)7.Apr(Mon)
【概要】
この日のメインは、アジザ先生とのCo-teaching で行う4年生の授業。事前の打ち合わせがロシア語だったこともあり、かなり勘違いがあり、教室に入ってその場で臨機応変に対応しなんとか無事につとめた。2コマ連続の授業で、1コマ目は教科書の「シンメトリー」の単元。教科書にシェルピンスキーのギャスケットの図があったので、「縮小して被覆する」というフラクタルの真髄の話をするのも面白そうだと思い、チャレンジングな内容の授業を行った。一生懸命背伸びしてわかろうとする気持ちが子どもたちから強く伝わった。2コマ目は遊びの中にある数学というテーマで、日本から持ってきたウボンゴを行った。ウボンゴとは数学的能力を育てるボードゲームで様々な国で活用されている。ちなみにウボンゴとはスワヒリ語で「脳」を意味する。子どもたちのものすごい集中力とパワーにとても感心した。
■ 4年生の授業
4年生の教科書であるが、非常に面白い内容である。等比数列の内容なのでかなり高度である。
予想通りウボンゴは大変な盛り上がりだった。
4年生はとても素直で前向きな子どもたちである。担任のアジザ先生を信頼していることがわかる。
■ その他(誕生日)
ウズベキスタンの子どもたちの一番幸せな日は誕生日。この日は、ある生徒の誕生日で、母親が自分で作ったケーキを学校に持ってきてくださり、ご相伴にあずかった。このような場面はとても多くいつもケーキをいただき役得であるなあと恐縮している。
■ 4月8日(火)8.Apr(Tue)
【概要】
5年生と6年生の合併クラスの英語の授業を生徒と一緒に受けた。当てられて黒板の前で発表させられるという場面もあり緊張することもあったが、楽しく学ぶことができた。
またこの日は、7年生の数学の授業(順列と組合せの導入)を、担当の先生と共同で行う予定であり、以前に教材を準備し、はりきって教室に入ったのだが、担当の先生が20枚以上のスライドを作っていて、既に話を始めてしまっていたので、見守ることにした。ところが、階乗、順列、同じものを含む順列、重複順列、組合せ、円周上の点から三角形を作る問題、更にはパスカルの三角形と二項定理の話まで、意味や理屈を示すことなく、ひたすら式を提示し、関連する問題を解いていくという形で進められた。さすがにこれは良くないと思い、5分前になったところで、授業を止めて介入した。なぜそうなるのかを考えることが数学の本質であるという話をして、事前に用意していた教材を用いて、順列と組合せの関係について5分で説明した。
午後は、JIS独特の課外活動の一つである空手の活動を参観した。講師は極真空手の世界大会で何度も優勝している人物である。子どもたちの動きをまねながら短時間であるが参加し子どもたちと交流することができた。
■ 英語の授業
前半は、The Internet: a friend or an enemy?という記事を題材に、ディスカッションしながら用意された問いを皆で考えるというもの。後半は、比較級と最上級についての問題を解いて、生徒がどんどん発表していくという形式であった。程よい緊張感もあり、4技能をしっかり伸ばす素晴らしい授業であった。
最後の問題が当てられ、黒板の前で私の答えを発表させられた💦ちなみに問題は、What is ( ) (far) place in your country?を最上級に書き換えるというもの。なんとかできたけれど、これ5年生の内容としては難しいのではないか。
コの字型の座席のレイアウトも功を奏して、子どもたちが教師の言葉に集中してどんどん授業に引き込まれていく様子が感じられた。いわゆるピンポン型(教師が生徒と1対1で対話していく)ではなく、バレーボール型(先生の打ったボールを皆でまわして返す)というスタイルである。
■ 7年生の授業
当日の写真がないので過去の授業の写真を紹介する。順列を既知として組合せの式を作るというものである。右の図を樹形図を生徒に配り、(5個から3個取り出す組合せ)×3!=(5個から3個取り出して並べる順列)という関係から、組合せの計算式が導かれるということを納得してもらった。
■ サークル活動(空手)参観