二乗比例法則

今回のワンポイント講座では、2次関数における「2乗比例」という重要性質についてまとめてみたいと思います。

正比例を表す関数  に対して、 は、式からもわかるように、2乗に比例する関数という言い方もできます。

このような2乗比例の法則は、ガリレイの示した落体の運動や、速度とエネルギーなど、様々な自然現象に見られるものです。

では、このことを念頭において、2次関数の重要性質を導いてみましょう。

水平投射の実験

私がいつも授業で行っている、2次関数の2乗比例則を知るためのめっちゃカンタンな実験にについて述べたいと思います。

用意するのはカーテンレール(くの字に曲げておく。また、黒板にくっつくようにマグネットシートを貼っておく)

① 1当たり量を決める

パチンコ玉を何回かレールから発射させます。玉が落下するときのどこか1点を観測して印をつけます。(下写真①)

これが1当たり量、つまり  の2乗比例定数 にあたる部分です。

② 2のときの位置を予測する

1当たり量から、2のとき4となる場所に、小さなケースを置いておきます。玉を発射させると、予想したポイントにストライク!(下写真②)

③ 3のときの位置を予測する

今度は、3のとき9の位置ををとります(目分量で十分)。玉を発射させると、用意していた小箱にストライク!自然現象を数学が解明しました!(下写真③)

写真①

写真②

写真③


実際の授業での動画をご覧ください。

因みに、下左図のように、頂点Oと1点Aだけがわかっている放物線があるとします。この放物線を皆さんはどれくらい正確に描くことができるでしょうか。恐らく多くの生徒は、2次関数の対称性から、Aのy軸に関する対称点は取るところまではできると思います。では、それ以外の点はどのようにとることができるでしょうか。これこそ、このカーテンレールの実験が役に立つところではないかと思います。下右図に1・4・9の規則をいくつか適用させたものを描きました。このように考えていけば、正確な放物線を描いていくことができますね。


多くの教師は、2次関数の描画について「頂点とその近くの2つくらいの点を取って、後は対称性に注意しながらそれを滑らかにつなげ」という指導をしているように思います。しかし、このような指導では2乗比例の性質がわからないままになってしまうような気がします。2次関数の描画では対称性や凸性とともに、2乗比例にもしっかりフォーカスしておく必要があります。カーテンレールの実験は、単なる興味を喚起するための教材ではなく、次に説明する2乗比例に関する重要公式に向かうためのものであることを強調しておきたいと思います。

2乗比例に関する重要公式

カーテンレールの実験を踏まえて、2次関数の2乗比例則の重要公式について説明をします。下図の左は比例法則で、1当たり量が決まれば、それに対して、横がl 倍になると、縦も l倍になります。2次関数は、下図の右の様に、1当たり量が決まれば、それに対して横が l倍になると,縦はlの2乗倍になります.

 

このことから、2次関数ではx軸と平行な直線を切り取る長さと、頂点までの距離に関して次のような重要な性質が導かれます。

いくつかの問題

では、上で述べた関係式の威力を実感する問題をいくつか取り上げてみたいと思います。





おわりに

の話をすると、生徒や先生から、「テストでこんな裏技のような公式を使って良いのか」といわれることがあります。

これに対して私は、次のように答えています。

これを受験テクニックを磨くスペシャルな公式として捉えるのではなく、2乗に比例する関数の基本性質として理解しておくということです。だからこそ、カーテンレールの実験をやったのです。2乗比例の性質と理解しておけば、別にこの式は、特別なものではなく、ごく自然で当たり前のものであると感じるはずです。